【ASD受動型】「知らない場所」に行くときの対処法

ASD

こんにちは。栖山 依夜(すやま いよ)です。

私は2024年にASD(自閉症・アスペルガー)の診断を受けました。
ASD受動型を自認しており、現在はブログとnote発信を続けながら、Webライターとしても活動しています。

突然ですが、皆さんは知らない場所に行く時、ワクワクするタイプでしょうか?それとも、ガチガチに緊張してしまうタイプでしょうか?

私は、後者のタイプです。

学生時代は、入学後の数日間は「道に迷わないか」を心配していましたし、今でも知らない場所に行く時は入念な下調べが欠かせません。

実はASDの特性を持つ人は、初めての場所が苦手だといわれています。

その理由は、「見通しが立てられない」という特性が影響しています。

しかし、ASDの私でも「知らない場所に行く」という経験を何回も重ねることで、自分なりに対処法をいくつか見つけることができるようになりました。

今回は、そんな私が見つけた「知らない場所に行くときの対処法」をご紹介したいと思います。

大切なことは以下の4点です。

①入念に下調べをする

②目印を作る

③文字として残しておく

④代替案を用意する

これを徹底した今では、他県への旅行も1人で行けるようになりました。

初めての場所に緊張してしまう人や、不安を抱いてしまう方にはぜひ試していただきたいと思います。

こんな人におすすめ!

・見通しが立てられないと不安になる

・心配性である

・旅行や遠出の準備は入念にする

入念に下調べをする

まず最初に、入念な下調べに勝るものはありません。

用意周到と言われがちなASDは、こういった時こそ腕の見せ所です。

事前に得た情報が多ければ多いほど、現地に行くまでの心配を減らすことができます。

まさに、情報が多いものが全てを制すといったところでしょうか。

ここでは、私がいつも使っているツールや方法を紹介します。

Google Map

1つ目はGoogle Mapです。

誰もが知るアプリといっても過言ではないですが、個人的には本当にすごいアプリだと思います。

もはや、これがないと生きていけないと言い切ってもいいほど。

見知らぬ場所に行くときに、一番心配なのは道に迷うことです。

私のような、超絶人見知りな受動型ASDさんであれば「今いる場所がわからない」「でも人に聞くのも難しい・・・」と八方塞がりになってしまいがち。

そうならないためにも、必ずインストールしておくことをオススメします

このアプリの良いところは、なんと言っても現在地がわかるところです。

歩いている方向に、アイコンが移動するので道に迷うことがありません。

目的地を設定すれば、道を間違えてもすぐにわかるので、安心して歩けます。

依夜
依夜

安心こそが、一番のクスリです!
私はドがつく方向音痴なのですが、アプリを入れてからは、道に迷わなくなりました。

ストリートビュー

「途中の道がわからない!」といった時に大活躍するのが、ストリートビューです。

特に、ASDは視覚優位という特徴を持っている方が多いといわれています。

この特徴を大いに活かせるのがストリートビューなのです。

店の名前や交差点の特徴を、実際に確認することで理解を深めることができます。

文字だけでは想像できないところまでハッキリ見えると、安心感がグッと上がりますよね。

さらに、安心感を作るために、私はプラスで以下のことも行います。

・スクリーンショットを撮る

・頭に入るまで目的地までを行ったり来たり繰り返す

・移動している様子を画面録画に残す

・目についた特徴をメモしておく

よければ、参考にしてみてくださいね。

YouTube

大まかな情報を知りたい!という時に有効なのが、YouTubeです。

最近では、心優しい公式サイトさんが、目的地までの経路を動画で載せてくれている時があります。

各駅からの経路を早送り+文字つきで載せてくれているものを見つけたら、占めたものです。

繰り返し再生して、頭に叩き込んでしまいましょう。

理解しにくい部分は、ストリートビューと併用するのもおすすめです。

Yahoo!知恵袋

コアな情報を知りたい時に使うのが、Yahoo!知恵袋です。

「駅から特定の建物の行き方」

「雨に濡れない行き方」

など、条件を絞って行き方を調べたい時に大いに役立ちます。

全く同じことで悩んでいる人の質問が見つかる時もあるので、一度調べてみても損はないでしょう。

ただし、注意点もあります。

それは、前提として、個人が載せている情報だということ。

情報によっては、10年以上前のものだったり、そもそも間違っていたりする場合もあります。

乱暴な言葉遣いのアンサーがあったり、求めていない情報ばかりが載せられていることもありますので、参考程度にしておく方がいいかもしれません。

下見する

最後に、確実かつ一番おすすめの方法を紹介します。

それが「下見」です。

手間はかかりますが、効果は抜群。
求めている情報がなかったり、いまいち理解できなかったりする場合に、絶大な力を発揮します。

実際に、自分の足で行くことはどんな方法よりも確実ですし、一度行ったという事実が大きな自信になります。

さすがに地方を越えるような距離では難しいですが、面接など時間厳守の用事を控えている場合は、できるだけ下見することをおすすめします。

どんな予定であれ、緊張していれば、予定通りに進まない事がほとんど。

「どうにかなるだろう」精神を一度捨て去って、下調べを行うことも選択肢に入れておいても良いでしょう。

依夜
依夜

当日の安心を買っておくと思えば、安いものかもしれません。

おまけに観光もできれば、ほぼプラマイゼロになることも考えられますね!

目印を作る

誰だって、「知っているもの」を見つけると安心できますよね。

これはASD特性の有無に関係なく、みなさんお持ちの感覚だと思います。

ASDの方は、この安心感を「生み出す」ことが大切です。

とはいっても、場所によっては安心感になるものが見当たらないこともあります。

私は知らない場所に来た時は、「知っているものを作る」ようにしています。
なければ、作ればいいだけなのです。

例えば、私はショッピングモールのトイレが苦手です。

方向感覚がないので、

①トイレがある方向
→男子トイレよりも奥にあるのか、手前にあるのか、など

②メイクルームではなく、個室トイレがある方向
→個室トイレに迷わずに、間違えずに行けるかどうか
(女性トイレではトイレとは別にパウダールームが設けられていることがあります)

③個室トイレから出た瞬間の方向
→来た道を辿れるかどうか

という3つの難関を越えなければならないからです。

もちろん、上手くいかなかったことも数知れず。

トイレを出て従業員専用のドアに直進したり、行き止まりの方向に進んだりしてしまった事が何度もあります。

こうしたミスを笑い飛ばせたらいいのですが、私は長時間引きずってしまいます。

「次も間違えたらどうしよう・・・」と考えすぎて、わざわざ違う場所のトイレを探しに行く、なんてこともありました。

この時に生み出した技が、知っているものを作るという方法でした。

たとえば、特定の場所(トイレなど)に入る前に、床の汚れやシミ、目立つ看板などを覚えておくようにするのです。

このとき、右、左といった、行き帰りで反対になってしまうような「曖昧なもの」や、清掃中の看板やモップなど、「短時間で消える可能性があるもの」を目印にしないように注意します。

この方法を実践してみたところ、私には大きな効果がありました。

「さっき、この汚れを踏んでから入ったから、この方向であっているな」

「あの看板の横に求人ポスターがあったから、反対に進めばいいな」

と、確信を持って進むことができたのです。

個人差はあると思いますが、よければ試してみてください。

メモに残しておく

紙に書いておいたり、スマホのメモに残したりすることも効果があります。

私の場合は、ワーキングメモリーが弱いので、短期的な記憶が人よりも保てないという悲しい特性を持っています…。

↓ワーキングメモリーの弱さについては、こちらの記事でも詳しく書いています

ワーキングメモリー凹の生きづらさは、日常生活でも感じることがあります。

言いたいことを言い忘れたり、やろうとしたことを忘れたり。

調べ物をするときに、うっかり何回も同じサイトを開いてしまい、その度に「さっきも見たやん…」と頭を抱えることもしばしば。

話し合いが終わってから「大事なことを言い忘れた!」なんてものは日常茶飯事です。

そんな時に大いに役立つのが、「メモ」の存在です。

事前に「答え」があれば、人は誰だって安心して行動できるもの。

紙だと失くしてしまいそうな方は、スマホのメモに打ち込む方法がオススメです。

いつでも見られますし、ペンと紙も必要ありません。

私は上記で紹介した「ストリートビュー」の写真や参考になったサイトのURLを、LINEの1人用グループに送信し、メモ代わりとして活用しています。

依夜
依夜

私の経験上、初めての場所に関わらず、ASDの方にとって「メモを取る」という方法は生きていく上でとっても役に立ちます!
頭の中の整理にも最適ですよ!

メモのメリットはこんな場面でも!

上述した「メモを取る」という方法ですが、実は、他にもこんなタイミングでも役立ちます。

「メモ」が活躍するとき

・歓迎会

・セミナー

・大学のゼミ

・病院の診察やカウンセリング

時には、決められた時間で、用意したものを出し切らなければいけない場合があります。

それが、上記のような「話す場面」です。

人前で自分の考えを話すということに、苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。

こんな時も、メモの出番なのです。

「何を話したいか」「絶対に伝えたいポイント」「大切なこと」

これらを箇条書きにしておくだけでも、安心感が大きく違ってきます。

学校や会社ならまだしも、1回きりのイベントなどでは、初めての場所に行くことも多いですよね。

このような見通しが立たないイベントは、ASDにとって最難関です。

まず「無事に場所に辿り着けるか」を心配して、次に「何が起こるか」「何を話すか」について悩みに悩みまくります。

つまり、これは見通しが立たない場面が2倍ということ。

ただでさえ緊張に弱いASDには、荷重すぎる問題です。

時には自分の能力を過信せず、メモに頼ってしまいましょう。

「覚えていなければならない」というタスクを一つ手放すだけでも、心がかなり軽くなりますよ。

依夜
依夜

自分でハードルを上げないことが大切です。
正直に「緊張しています」「不安です」「何を話せばいいのかわかりません」と思いを伝えるのも一つの手ですよ!

かくいう私も、新卒で入った会社の入社式では、大変な思いをしました。

開始30分前に現地に着いたのにもかかわらず、お腹はグルグル。次第に吐き気もしてきて、本当に帰りたい気持ちでいっぱいに。

現地に着いてホッとしたのも束の間、次に襲ってくる難関。

私がこの時に一番恐れていたのは、自己紹介でした。

基本的に、自己紹介は周りに合わせて行うものです。「話す内容」をその場で決められることもあれば、1人目の話した内容がテンプレートになることもあります。

確実に「ある」ことはわかっていても、事前に対策が立てられない事が不安に繋がっていたのです。

さらに、この時はASDだと判明していなかったこともあり、メモの用意などもしていませんでした。

当時の私は、猪突猛進。なんとかなれー!の精神だけで、突撃したのでした。

大まかな内容だけでもメモを書いていれば、少しは精神的にも楽だったのではないかと思っています。

結果は…、察していただければと思います(笑)

代替案を用意する

最後に、やや精神論寄りな方法をお伝えします。

ASD特性のある方は、「いつもと違う」ことに不安を覚えやすいです。

「臨機応変」、「イレギュラー」、「その場に合わせて動いて!」といった言葉にトラウマを抱えている方もいるのではないでしょうか。

こういった状況は、ASDにとってはパニックになってしまいます。

なぜなら、選択肢が用意されていないからです。

「パターン化」が得意とも言われているように、ASDの方は慣れている動きに対して強みを発揮しやすいという特徴があります。

そのため、安心感を作るためにはその特性を利用する必要があるのです。

それが、代替案を用意するということ。
具体的に言えば、「〇〇だったら△△しよう!」を作り出すということです。

見通しが立てられないことに不安を感じるのであれば、見通しが立つように事前に「動き方」を決めておけばいいのです。

例えば、このように考えておくことがオススメです。

・怪しいと感じたらすぐにGoogle Mapを開こう

・5分経ってわからなかったら、駅員さんに聞こう

・〇時までに着かなかったら電話しよう

方法を考えるときは、具体的な数字まで入れておくようにします。

これはASDの白黒思考や完璧主義でよくある「あとちょっと頑張ろう」を防ぐためです。

目で見えるゴールがあれば、意外とスッパリと諦めやすくなるもの。

もし、予約をしているなどで、電話をしなければいけない場合は、その際に話す台本なども事前に決めておくと気が楽になりますよ。

私であれば、こんなふうにメモを残しておきます!

依夜
依夜

もしもし。〇時に予約している××と申します。
(名乗る)

実は道に迷ってしまいまして…。
(事実を伝える)

今、△△の前にいる(◻︎◻︎という看板が見えている)ところです。
(現状を伝える)

大変申し訳ないのですが、道順を教えていただけないでしょうか?
(してほしいことを伝える)

目印など教えていただけますと助かります。
(補足や、あれば助かるものを伝える)


私の場合は「何百メートル先」や「東方面に」といった表現の理解が難しいので、「赤い屋根」や「犬の置物」、「〇〇商店」といった具体的な名前を目印として伝えてもらえるとありがたいと感じます。

自分が理解しやすい目印で伝えてもらえるように、メモを考えておくのがオススメです。

楽しむ気持ちを忘れずに!

いかがだったでしょうか。

私はこれらの方法を駆使して、なんとか1人で他県に旅行ができるまでになりました。

今では「推し活」のために遠征もなんのその!ですが、ここまでできるようになったきっかけは「行かなければならない」状態に陥ったからです。

練習して徐々にできるようになったのではなく、実際に行動したから結果的に自信がついたのでした。

ここまで対策を書いていて何ですが、余計な心配をせずに、場を楽しむという単純なことが、意外と一番大事だったりします。

意外と、知らない土地に行くと「おのぼりさん」みたいな気持ちが出てきて、普段の自分とは違う性格の自分が出てくる時があるものです。

加えて、その場限りという「一期一会」な部分も、コミュニケーションに対する苦手意識を下げてくれる要因になることがあります。

事前準備をしっかりして、安心感を得つつ、全力で楽しむ。

「ここまでやったんだから、なんとかなる!」と、割り切ってしまうと、心に余裕ができてきますよ。

たくさん準備してきたあなたなら大丈夫です。

記事を読んでくださっている皆さんの「初めての場所」が良い経験になることを願っています!

栖山 依夜のプロフィール
この記事を書いた人
栖山 依夜

ASD(受動型)・HSP・INFJ・アダルトチルドレンな20代ブロガー。
日々の気づきをnoteでも綴っています。
Webライターとしても活動中。障害者手帳取得済み(精神3級)。
生きづらさに悩む、誰かの力になりたい。

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